
2日前のニュースになるので見た方も多いと思います。「
山場でCMは逆効果|TV視聴者の86%は不愉快」|朝日新聞
TV番組で「正解はCMのあとで」「最新情報はこのあとすぐ」と詠い、CM明けまで視聴者を引っ張ることは、”CMへの好感度が低くなり商品の購買意欲も下がる”という研究結果が出たという記事です。日本の”山場CM”導入は40%に対し、アメリカでは14%、イギリスでは6%、フランスでは0%だったようです。
では、なぜ欧米と日本とではこんなにも差があるのか?それは「プロダクトプレイスメント」と言う手法を取り入れているからです。
Product Placement(プロダクトプレースメントとも言う)とは、媒体コンテンツ(テレビ・ラジオ・インターネットなど)に付随する枠として用意された広告スペースを利用した広告ではなく、”コンテンツのなか”に広告商品を取り込んでより自然に消費者にアプローチをする手法のことです。
映画やテレビドラマの中で主人公が特定メーカーの商品を使ったり、特定の場所をよく訪れたりすることによって視聴者に商品を印象づけること(宣伝)ができます。
例えば、映画「
007
」シリーズで主役のジェームズ・ボンドが乗るBMWなどが代表例と言えます。映画「
You've Got Mail
」(ユー・ガット・メール)では、プロバイダの加入者が急増化しました。こうのように米国で1970年代後半に映画から始まり、ビジネスとして顕在化してきたのは1980年代ころのようです。
日本では、アニメ「
ルパン三世
」で登場するベンツSSK、フィアット500などもプロダクトプレイスメントと言えると思います。また、ゲームコンテンツとの連動では、
ファイナルファンタジー
に出てくる
ポーション
というアイテムを、現実世界で飲料商品として発売した事例があります。セカンドライフなどでは、現実世界から仮想社会へと商品を提供しています。

それらの背景には、DVDレコーダーの普及によるCMスキップなど、広告を見てもらえない現状があるからです。それに加え、山場CMの広告は「商品を買いたくない」「商品を覚えていない」という、CM本来の効果さえ打ち消す状況にあります。
それらを逆手に取り、映画やドラマの”メディア流通”を視野に入れたとき、プロダクトプレイスメントは効果を発揮します。劇場公開→海外での公開→DVDなどのパッケージ商品→ペイ・パー・ビュー(PPV)などによる有料放送→無料テレビ放送などへ、と順を追うことで恒久的に宣伝できるからです。
バラエティーにおいては難しいかも知れませんが、山場CMを86%の人が不愉快と感じているのですから、番組好感度を上げるためにもCMのタイミングを考えて欲しいと思います。そして、映画公開3ヶ月後にはDVD販売される日本において、プロダクトプレイスメントは価値のあるマーケティング方法だと思います。
【追記】
過去にはミュージシャンのプロモーションビデオと広告が連動した、「プロマーシャル」(プロモーション+コマーシャル)というのがありました。
有料プロダクト・プレースメントの世界市場規模について|日経ネットマーケティング
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